中国は「動態清零(ダイナミック・ゼロ)」と「社会面清零(市中感染ゼロ・市中クリアリング)」という政策の下、感染者や濃厚接触者がいる地域は封鎖し隔離管理場所として可及的速やかに治療に取組み、それ以外の地域では正常活動場所として通常の生活や仕事を継続する方針で取り組んできました。しかし、当初数日間の予定であった上海のロックダウンは、3月28日から始まりすでに1カ月経ち現在も続いています。半導体、自動車、バイオ製薬など666社のホワイトリストと呼ばれる操業再開許可が出た企業から少しずつ事業を再開していますが、物流機能がほぼ停止している中、サプライチェーンが分断され正常操業には程遠い状態です。生活面でも団体購入等で十分な食料を確保できる人はいいものの、政府支給品にのみに頼らざるを得ないような高齢者や配給品が潤沢に提供されていない一部の郊外では危機的な状況に置かれている人々が数多くいるようです。これまで中国は右肩上がりの成長を続けてきましたが、新常態移行後、初めて大きな踊り場に来ました。世界第2位の経済大国であり、デジタル化が大規模に進んでいるものの、社会全体を見渡すとまだまだ発展途上のところが数多く、特に人の手に頼らざるを得ない医療などのサービスは大幅・大規模な改善余地があります。このロックダウンは上海の人々に大きな身体的・心理的ダメージを与えています。回復にどれほどの時間が必要なのかまだ分かりませんが、これ以上長引くことなく、一日も早く正常な生活に戻れるの日が来るのを祈るばかりです。